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「肝」と「脾」を整え、春から夏を快適に過ごしましょう 2023/4/20

 春の陽気となり、草花も柔らかく鮮やかな色合いを見せてくれる季節となりました。東洋医学では自然界の原理と、一個体としての人の機能を司る原理は同一であると見ています。
 春と通じているのは、五臓でいうと肝になります。肝の本質的な性質として、樹木の性質に喩えられます。大地の養分を吸い上げて、太陽のエネルギーを吸収して育ち、地に根を張り、空に向かって枝葉を伸び広げる樹木の性質を生体内においても反映します。
 肝の主な機能としては、生体内の巡りの調整役として必要なところに必要なものを配分する役割を担います。活動、代謝を促し、燃焼·消費に誘導するため、肝の自律神経系に対する作用は交感神経系との関連が深いとされています。
 肝は春に犯されやすく、ストレス、ウイルス、風などで異常を起こします。また、肝の機能を支える他の臓器の異常も肝の症状が出る原因となります。
 自律神経系のうち交感神経が“肝”ならば、副交感神経系は“脾”の機能に関与します。
 脾は「分泌機能」「平滑筋(血管壁や内臓の壁にある筋肉)の緊張」に深く関わります。現代医学でいう肝臓と関連します。
 肝と脾は自律神経だけでなく、消化吸収という機能においてもペアとなり、バランスをとっています。その脾は「燥を好み、湿をにくむ」性質があるため、夏の初め、梅雨には弱い傾向があります。
 春から夏にかけて自律神経系のバランスを崩しやすいですが、鍼灸治療で整えていきましょう。


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